本を読む時間を大切にしています。


by mandalabooks

阿修羅よ・・・

阿修羅よ・・・輪廻の世界
ひろさちや著

写真なし。
1978年、ひろ氏が48歳で書き上げた阿修羅への祈りを込めた一冊。

いきなり「阿修羅よ・・・」という絶句的な呼びかけで始まる。
阿修羅よ、怒るべし
阿修羅よ、怒るなかれ
怒りの象徴である阿修羅への問いかけをどうすべきか迷っている。

阿修羅とはどんな存在であったのか、
敵対する帝釈天との関係、正義とは、倫理とは、政治とは、宗教とは、
仏教六道の中での阿修羅の位置づけ
などなどを教えてくれる。

阿修羅のイメージは、「悪」である。
しかし、本当は正義感が強すぎて、人々に煙たがられて、押しやられた存在なのではないか?
それが、神から転落し、魔人と呼ばれた所以ではないか?
実際、本文で「正義は怒りである」とも解く。
阿修羅は、弱くだらしない人間に怒りを発する。
人々は甘えたいのに、その隙を与えないから、人々は遠のいていくという。

神といわれる帝釈天に、やられっぱなしの阿修羅ではあるが、あくなき挑戦を続けていく。
この神という権力者に。
それを著者自身が学生運動をしていた頃の政治情勢に例えて話を進めていくところも面白い。
反体制の怒れる存在として阿修羅を見た著者は、そこへ感情移入していたという。

最後に著者は諭すように言う。
「阿修羅よ・・、汝、あきらめよ」と。
もう少し、思いやりがあれば、誤解を受けないのに、と。

2005年に、この本を改題、加筆訂正した「私の中の阿修羅」も読んでみたい。
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by mandalabooks | 2009-06-14 23:05 | 仏教、他宗教